研究概要
既往の研究から,木造建物の全壊といった大きな被害は,木造建物の弾性周期に対応する周期0.5秒以下の揺れではなく,塑性化による周期の伸びを考慮した等価周期に対応する地震動の周期1~2秒の揺れによって引き起こされる事がわかっています.木造建物という大きな括りで見ると周期1~2秒の揺れが危険ですが,木造建物は耐力と弾性周期が相互に依存する構造物であり,耐力は建築年代によって異なるため,大きな被害を受ける周期は新しい建物と古い建物で異なることを発見しました.そこで,木造建物の建築年代に加えて,階数,屋根葺材といった要素による耐力の違いに対応する周期の揺れの強さに基づいて,正確かつ迅速に被害を推定できる手法の開発を行っています.
教育・研究活動の紹介
コンピュータを用いたデータ分析が主な研究内容ですが,被害データの背景には地震動の入力に対する建物の応答という物理があります.分析の結果がどのような因果を持つのかを常に考える習慣を身に着けてほしいと考えています.
今後の展望
木造建物がどのような地震動で大きな被害を受けるのかについての分析結果を元に,建物にとって危険な地震動が発生するような表層や深部の地下構造の条件についても検討を行いたいと考えています.
社会貢献等
大きな震度を記録した地震が発生した場合,強震観測点周辺の被害調査を行い,調査結果の速報を自身のウェブサイトで公開しています.