研究概要
近年では、人の移動は広域化し多様化しただけでなく連続化もしています。たとえば、国籍の異なる両親の間で生まれ、親の仕事の都合で幼少期と青年期をそれぞれ異なる地域で過ごし、成年期には留学をし、就職は様々な地域を転々としながら生きる人々がいます。彼らは、複雑な文化的背景をもって育っています。そんな、幼少期から複雑な国際移動を繰り返して育った人びとを対象に、移動の中に生きる人びとが、移住先で出会った人びととのつながり、特に友人関係にどのような意味付けをしているのかを考えています。
教育・研究活動の紹介
教育活動については、自分とは異なる社会、地域や集団の中で生活する人々の生き方について学ぶだけでなく、理解を試みることで、自分の生き方を振り返って自省できる能力を養うよう心掛けています。つまり、異文化を見て自分を見つめ直すということです。そのためには、文化人類学の思考法を身に付け、他者の生き方を文献を通して学ぶだけでなく、実際に自分自身が他者と共に生きることで理解を深めます。自分と考え方や価値観が異なる人々と関わるのは簡単なことではありません。しかし、互いに理解を深め合うことで、共に生きる術を探りたいと思います。
研究活動については、幼少期から複雑な移動を繰り返しながら育った、移動の中に生きる人々をストレンジャーと捉え、彼ら/彼女らの生き方を、ライフストーリーという手法を用いて理解を試みています。
今後の展望
今後の展望については、これまで連続的な移動の中で生きる人々が移住先で出会った人々との交友に焦点を当ててきた研究を、友人関係の視点から整理しなおし、疎遠だけど親密な友人の在り方の研究を進めることです。最近は他のトピックやテーマにも着手した研究もしています。たとえば、日本のタコスです。日本には、メキシコには存在しない多様な「タコス」が存在し、原料や調理法も形も違います。そうした多様性から日本のタコスに共通する特徴を調査しています。