研究概要
環境問題は、本質的には政治問題であると捉え、持続可能な社会への変革を可能とする政治・ガバナンスのあり方を探求しています。国際関係論や比較政治、環境政治学や環境社会学などから編み出した理論的枠組をもとに、複数の事例研究や国際比較を進めています。学際的にデータを渉猟し、現場の声を大切にし、時には国際的・学際的共同研究チーム、また学生や市民の方々ともともに、数多くのフィールド研究や実践を行ってきました。近年は気候危機への関心を強め、スウェーデンとの国際的・学際的共同研究も進めています。
教育・研究活動の紹介
●環境省外郭の研究機関での実務経験、イギリスの留学経験、スウェーデンでの在外研究、カナダでの子育て+研究経験、アジア各国での調査など、豊かな国際経験があります
●学生たちとともに、大学とNPO、市民などとのパートナーシップを創出し、NGOの再生可能エネルギー教育や、里山保全や市民農園を手伝っています。また、市民向けのSDGs映画上映会とワークショップを重ねて行い、相互学習を通して、問題構造の把握や具体的な行動のアイディアについて、見える化や提言も行っています。
●原発震災から11年経った今日も、生態学的・社会的・経済的にも弱い立場にある母子を含め、万単位の避難者がおられ、今なお厳しい立場に置かれ続けています。行政や市民団体とともに支援活動からはじめ、時には行政や裁判へも協力しつつ、不可視化されそうな被害の状況を記録継承し、問題提起を続けています。この関係から過去の公害事件にも目を向けて、足尾・渡良瀬での環境教育も進めています。
今後の展望
わかりやすい情報公開、報道の自由度の高さ、地方分権、開かれた政策形成プロセスと、様々な次元での市民参加、女性・若者をはじめ多様な主体の声の反映などが、総じて人に優しく複合的効果の高い環境政策作りを可能にすることが、これまでの研究からわかってきました。環境被害や人権侵害を繰り返さずに、カーボンニュートラルな社会へと変革する方法はたくさんあります。国際・学際的な共同研究や、NGOや学生、市民の方々等との協働を通じて、持続可能な社会への変革に向けて、研究、教育、社会実践を続けていきます。
社会貢献等
気候危機とカーボンニュートラル、再生可能エネルギー、循環型社会、原発避難生活史、足尾、越境大気汚染など、幅広い研究や活動経験をもとに、市民や企業、行政、学校向けの講演活動を行ってきました。SDGs映画上映会、3Cキッズカレッジなど、NPOや学生、海外研究者との共同企画を通じた発信も、今後も続けていきます。