研究概要
西洋受容による近代化という視点から西洋美術に影響を受けた俳句の写生概念の変容について、日欧の資料を駆使して研究し、高く評価されました。(日本比較文学会賞受賞2003年)ハワイとアラスカの俳句から、季節感の異質性と同質性を考え始め、近年は、チェコの俳句会に出会って、句会を通して交流を重ね、四季のある中欧と日本の季節感をどのように共有できるか模索しています。身体文化研究として、能と日本語に注目し、日本語の構音の特徴を機能解剖学によって分析する研究を進めています。
教育・研究活動の紹介
多文化の視野で日本を意識し、考察すること、自分の言葉で日本を発信することを目標としています。授業をしている講堂は、登録有形文化財で、樹齢を重ねた木々に囲まれた美しい建物です。とても快く声が共鳴します。この恵まれた環境で、学生たちが日本語を力強く響かせて発言できる姿勢、呼吸、構音のための身体コンディショニングも同時に実践しています。
今後の展望
俳句と能は、現在まで継承されてきた伝統文化です。これらに共通するのは、日本語の繊細な感覚を磨き、時代を超える普遍的なメッセージを他者に発信していることです。俳人や能楽師の健康寿命が長い秘訣は何なのか、とても興味を惹かれます。身体技法と言葉の力を探究し、現代の私たちに有用な特質を見出して、実践に役立てることを企図しています。
社会貢献等
機能解剖学を活かしたボディメソッドで快適な身体使いを提案するワークショップ、豊かな響きのある日本語の構音を探究するクラス、日本文化に親しむ講座を提供したいと思っています。《これまでの実績》大学の公開講座コーディネーター「声とことばの表現講座―声とからだと想像力をつかう―」「能を楽しむ」「日本人の身体と生活―『身の処し方』を歴史に学ぶ―」「からだのメソッド―立居振舞いの技術―」/美術館でのワークショップ:展示作品から俳句を詠む/高校への出張授業:小さくて大きな俳句の世界/県の文化振興審議会委員