研究概要
感情心理学、感情とコミュニケーションの心理学について研究しています。特に、顔や表情を通した感情のコミュニケーション、そのようなコミュニケーションにおける表情と文脈の重要性、感情のあらわし方の文化差に興味を持っています。また、近年は、法や倫理、国際関係、文学などにおける感情の役割にも関心が広がりつつあり、差別やヘイトスピーチのような排斥的行動の背景にある心理的プロセスと感情の関係について、研究を進めています。
教育・研究活動の紹介
心理学的研究法・実験計画法に基づき、主に対面の対人コミュニケーション場面における表情を通した感情の判断について分析するための調査と実験を行ってきました。特に、感情の判断に影響を与える文脈情報として、感情表出場面の公私の度合い、表出者の性別、国籍などを取り上げました。近年は、排斥に関わる心理学的プロセスにおいて、感情がどのような役割を果たしているかという観点から、主に、ウェブ調査の手法で分析を行っています。
今後の展望
顔や表情に焦点を当てた感情とコミュニケーションに関する研究を継続しつつ、より広い、社会的文脈における感情に関わる現象について研究を進めたいと考えています。共感と排斥、感情が排斥行動にどのように結びついているかという問題をさらに検討しつつ、社会的共生に関わる課題や問題を解明し、対応の可能性について考えたいと思います。
社会貢献等
感情やコミュニケーションに関わるテーマの講演や講座の講師を務めてきました。また、多文化共生の取り組みについて検討するためには、偏見や差別を含む、排斥の背景にある心理学的な問題を理解しておくことが重要です。このような観点から、自治体、教育機関、企業などにおける教育活動を支援することができます。