研究概要
19世紀のフランス文学・思想・文化を研究対象としています。19世紀フランスにおいて、当時新生の技術であった写真が「科学」と「芸術」の関係の中でいかに受け入れられていったのかという点、そして同時代の科学普及活動の中で「科学」と「非科学」の境界はいかに捉えられていたのかという点について、当時の出版物を中心に研究しています。
教育・研究活動の紹介
教育活動においては、文献を自力で読み進められる力を養うことを目指しています。自分自身で考え、自らの言葉で語ること、そして他人の言葉にも耳を傾けて違いを尊重し合うことを、授業では大事にしたいと考えています。2011年から2016年までの5年間、フランスの大学で外国人教員として教壇に立ちながら現地で博士論文を提出した経験も踏まえ、海外留学や異文化交流などに関する相談にも乗りたいと思っています。
研究活動においては、写真や鉄道といった数々の新技術が登場し急速に普及していった19世紀のフランスに着目しており、同時代の「科学普及活動」を主要な研究テーマとしています。専門的で高度な科学を人々に広く「開いて」いこうとする科学普及活動の最も初期の形態を分析することで、今日ますます重要となっている、難解な科学に対する一般人からの理解や共感をいかに呼び起こすことができるのかという点についても解明したいと思っています。
今後の展望
私が手掛けている研究は19世紀のフランスという過去の事象を主に分析するものですが、特定の時代や地域を超えた普遍性をそこに見出そうとすることで、今日の科学と人々をめぐる諸問題についても、新たな視点を引き出すことを目標としています。