研究概要
主に1980年代以降のアメリカ経済の展開や成長を、制度、資金循環、中間層の推移、実践的規範と行動の側面から研究しています。その際以下の二つの点が重要だと考えています。一つは経済活動と制度は不可分の関係にあり、経済過程の理解には制度等の理解が不可欠だということです。2点目はよく言われる様に制度は真空状態の中から作られるものではなく、先行する制度の影響を強く受けるということ、そして制度を形成していく際にも、またその制度を利用していく際にも、不完全な情報と不十分な能力の下で意思決定し、行動することになる、ということです。
教育・研究活動の紹介
アメリカ経済を対象とした授業では、経済過程だけでなく、政治・社会に関わる要因も含めて扱うことを心がけています。アメリカに即して言えば、出発点としての植民地、連邦と州という二元国家、人種差別問題、などです。金科玉条の如く扱われる「選択の自由」も上記の要因を含む歴史的な過程を認識して、初めて十全な理解に達することができると考えていますし、この意味では世界は「フラット」ではないと理解しています。
今後の展望
引き続きアメリカの制度についての研究を進める予定です。制度研究はその対象や結論が「どの国にも共通するもの」か「各国・地域に特殊なもの」かに区分されることがありますが、このことを含め社会科学における「普遍性」にも関心があります。