研究概要
生体計測・福祉工学・生体シミュレーションに関する研究を行っています。生体計測においては、非侵襲に生体情報を取得する手法と装置の開発を行っています。日本人の死因の1/3に関与していると言われる動脈硬化を、近赤外光を用いて早期に家庭内で計測できる手法を研究しています(図1参照)。また、爪(主に母指、母趾)にひずみゲージを貼付して、物体把持または歩行時の爪ひずみの計測を行っています。
生体シミュレーションにおいては、ヒトCT・MRI画像より構築したヒトモデル(骨、筋、靭帯を含む)を用いて、筋収縮時の運動解析や、靭帯損傷時における運動不全の解析などの研究を行っています。
教育・研究活動の紹介
動脈硬化の指標となる「血管硬さ」と「血管内皮細胞機能」を近赤外光を用いて非侵襲に計測する手法を開発中です。このアイデアは上記特許にて権利化しております。血管硬さの計測には、一般的に脈波伝播速度(PWV)などを用いて計測します。しかし、装置が大掛かりであること、1人での計測は困難であること、汎用性がないことの理由により、病院などで計測する必要があります。また、血管内皮細胞機能の計測には、一般的に超音波画像診断装置かEndo-PATを用いて行います。超音波画像診断装置による計測では特殊な操作技術を要し、Endo-PATの計測では計測ごとの消耗品を必要とします。これらのデメリットを解消するために、近赤外光を用いて家庭内で簡易に計測できる手法と装置を開発しています。
今後の展望
近赤外光を用いた血管硬さの計測については、実験室レベルにおいて手法と装置が完成しています。この装置の小型化と血圧計などの測定機器との複合機の開発を目指したいと考えています。また、近赤外光を用いた血管内皮機能の計測については、Endo-PATの手法を参考に、プロトタイプ測定装置を作成しました。今後、この装置を使って、血管内皮細胞機能を高精度に推定できるかどうかを判断するために、多くの被験者を使用して、PWVやEndo-PATによる値との相関を求めていきたいと考えています。
社会貢献等
技術移転希望項目
・近赤外光を用いた非侵襲生体情報計測(血管硬さ、血管内皮細胞機能)
特許出願状況
・特許4729703(血管硬度測定装置)・特許5130590(血圧特定情報生成装置)
・特許5830325(疑似血管ユニット、共同特許)