研究概要
先進国をはじめとして国際社会は少子高齢化が続いています。そのため健康寿命/労働寿命の長期化や安定した高度医療の実現は重要課題です。本研究室は高度に進化した生物の機能や構造を応用するバイオミメティクスを使って、それらを実現する装置の開発を目指しています。象鼻からは鏡視下手術を支援するマニピュレータ、微生物からは高度な変形機能をもつ汎用型移動ロボット、ヒト構造からは高齢者の運動機能回復や理学療法のために運動支援装置の研究開発を行っています。
教育・研究活動の紹介
高度に技術科学が発達してきた現代において、多様な学問や技術に精通するマルチタレント型の人材が求められています。本研究室では、その中でも機械工学から電子工学、制御工学、情報工学といった分野横断型の学問であるメカトロニクス、そして医用福祉に関わる機械設計や分析には、人間との調和性を考慮する人間工学的な観点と解剖学的にヒトや生物を理解するためには生物学や医学的な知見に精通した研究が行われています。多くの分野に渡って学生と供に学修・研究するため,幅広い知識と実務能力が付いていく研究室です。
医科大学とのコラボレーションでは、腹腔鏡手術支援のための新たな手術器具ガイド用多自由度マニピュレータの機構が考案され、所望の器具を任意の術野まで案内することが実現できる機構が開発されました.その他、産業界との共同研究も行われており、社会貢献などにも積極的に取り組んでいます。
今後の展望
生物と同じく筋肉の運動を伝達する腱のようにワイヤーロープやケーブルを用いた多くの運動機構が考案され、医用福祉デバイスや汎用型ロボットの駆動部分に導入されてきました。現在までに開発されてきた装置はいずれも試作機であり、生体適用性に関しての性能の実証はされていません。今後は実験動物を使った臨床や医療施設での試験を行い、更なる改良と機能向上、実用レベルの技術開発が行われることが期待されています。
社会貢献等
技術移転項目 ・機構構築技術 ・電子基板製造技術
特許取得状況 ・医用デバイスとその評価技術