研究概要
新しいバイオイメージング法・光細胞操作法を確立するとともに、それら新規手法を用いて未知の生命現象を発見・解明することが研究の大目標です。特に着目しているのが、植物の高い幹細胞化と再生の能力です。生体分子や生体構造を蛍光分子により標識し、顕微鏡を用いて観察するバイオイメージングや、顕微鏡と光を用いて任意の細胞の働きを操作する光細胞操作などの手法を駆使して研究を進めています(図1)。主な生物材料として、植物の中でも特に高い幹細胞化の能力を有し、多くの組織が1層~数層であることから光学特性解析に適したコケ植物ヒメツリガネゴケ(図2)を用いていますが、作物・動物・微生物を含むあらゆる生物材料が研究の対象です。
教育・研究活動の紹介
我が国における光工学の研究教育拠点である大学院地域創生科学研究科光工学プログラムとオプティクス教育研究センター、学部では物質環境化学コースに所属しているという利点を活かし、授業では生命科学・光工学・化学の融合領域を主に取り上げています。また、研究室では、生命科学と光工学、化学の異分野融合研究を積極的に推進しています。
今後の展望
バイオイメージングにおいて、生体構造が光を乱すため、生命の内部を生きたまま鮮明に観察できないという大きな課題が残されています。これを解決するために、天文学の分野にて用いられてきた補償光学を顕微鏡に適用する研究を光学・天文学の研究者と進めています。さらに、あらゆる散乱現象を克服し、その向こう側を透視するために、科学研究費助成事業のサポートのもと、学術変革領域「散乱透視学」を立ち上げました (https://www.org.kobe-u.ac.jp/scattering_clairvoyance/) 。これらの異分野融合研究によって、生命の内部を透視することができれば、多くの新しい生命現象を発見できると期待されます。
社会貢献等
高等学校、中学校における出張授業、出張実験、オープンキャンパスにおける模擬授業、プログラム紹介など
技術移転希望項目 補償光学顕微鏡技術(自然科学研究機構との共同研究)