研究概要
らせん不斉を有するヘリセン類似化合物の新規合成反応に関する研究を行っています。
ヘリセン誘導体を酸化的にカップリングさせることで、2倍のらせん長を持つらせん型キノン誘導体を効率よく合成する反応を開発しました。この反応をさらに光学活性体を得るための不斉合成反応へと発展させ、高い不斉収率で不斉合成にも成功しました。また、光学分割剤を導入したジアステレオマーを分離することによって、光学的に100%純粋な鏡像異性体の分離に成功しています。一方、らせん型キノン誘導体を種々の反応によって様々ならせん型分子へ誘導できる新規反応の開発に成功しています。
教育・研究活動の紹介
各種文献における既知反応の調査に基づいた新反応の提案、低沸点から高沸点の有機化合物、難溶性の様々な有機化合物の合成、分離精製(順相クロマト法、GPC法、鏡像異性体分離カラムによる分離精製)。特に光化学反応による合成、光学活性化合物の取り扱いや分析方法を得意とします。この他に有機合成における反応条件の最適化、実験操作の簡略化を行います。主に1HNMRを用いた各種スペクトルによる有機構造解析。分子軌道法や分子力学法などの各種理論計算を用いた、分子モデリングや反応解析を行います。
今後の展望
光学分割剤を導入したジアステレオマーに誘導した後に、通常の順相カラムによって分離することで、光学的に100%純粋ならせん型キノン誘導体を得ることが可能になりました。この物質からの各種らせん型化合物への誘導反応は既に独自に開発しました。そこで、この物質を出発物質にすることで、様々の光学的に純粋な種々のらせん型化合物を合成する予定です。さらに各種スペクトルによる評価を行い、らせん型化合物の特異な物性や反応性を明らかにします。
社会貢献等
技術移転希望項目
・有機合成技術、不斉合成技術、構造解析技術