研究概要
X線吸収端微細構造(X-ray Absorption Fine Structures: XAFS)の測定は材料の化学状態分析の有力な手法です。またEXAFSと呼ばれる測定・解析を実施すれば結晶化していない材料中の特定原子について周囲の原子の配置を知ることができます。XAFS測定は励起光として連続スペクトル状のX線を使うので一般には放射光施設を利用して実施します。放射光施設の共同利用は事前準備や当日の実験にやや煩雑なところがあり、この分野に馴染みの薄いユーザーには敷居の高いところがあります。当研究室では大学の実験室内で軟X線領域のXAFS測定を行なう装置(ラボラトリー装置)を開発しています。化学状態分析の主要な手法は光電子分光ですがこれと比べてバルク敏感な手法になります。また、軟X線領域の逆光電子分光に関する技術開発も行っています。
RFマグネトロンスパッタ装置と電子ビーム蒸着装置を所有していますので標準的な薄膜試料の準備ができます。厚さ等を変化させた薄膜試料を使って深さ方向の分析技術も開発します。
教育・研究活動の紹介
ニッチな需要の分析装置の実用化研究をテーマとしていますが要素技術は一般的なものです。開発の全般として機械設計・加工からエレクトロニクス、制御システム、分析用アプリケーション開発までを研究室内で行っています。現在はArduinoを利用した制御機器や量子パルス計数機器の開発にも取り組んでいます。
今後の展望
軟X線の光物性の応用として、分光分析だけでなく高輝度なX線発生源の開発を目指します。このような技術分野はX線量子エレクトロニクスに関係します。内殻励起子の影響を検出する実験に着手して関連する光物性を調べていく計画です。
社会貢献等
ラボラトリー軟X線XAFS装置は基本的な動作を確認しましたので技術移転可能です。