研究概要
当研究室では、ホログラフィー、光機能性材料、プラズモニクス・ナノフォトニクスの知識をベースにして、スマートグラスや光メモリー、グリーンエネルギーシステムなどの応用研究を行なっています。
【ホログラフィック導光板の研究】
アイグラス、AR/MRグラスなどのヘッドマウントディスプレイ光学系では、映したい情報を透明な板に結合させて導光し、人間の眼の付近で再び眼球側に偏向させ出力する機能が求められます。当研究室では、光波の導光板への結合と出力部分に体積ホログラムを用いることで、視野域の拡大、輝度の均一化、デバイスの軽量化などを実現すべく研究をすすめています。これまでに体積ホログラムを用いたホログラフィック導光板において、数学的なモデル構築と視認画像の輝度均一性を向上する技術を開発し、特許出願をしています。
【プラズモニック金属ナノ構造を用いたグリーンフォトニクスの研究】
誘電体微小球の一部が金属で覆われた金属ナノ構造であるセミシェル構造は、プラズモン共鳴吸収に由来する大きな吸収断面積を有しており、光を効率的に集めることができる“光アンテナ”として機能します。われわれは、この特性を利用して太陽光からエネルギーを生み出すクリーンエネルギーデバイスの開発を行っており、これまでにセミシェル構造と金属–誘電体–金属の3層薄膜構造を有するナノ構造が、紫外–近赤外の広い波長帯域で高い吸収率を示す広帯域吸収帯となりうることを見出し、実証しています。
教育・研究活動の紹介
ホログラム記録材料や金属ナノ構造は、シミュレーションによる設計から、作製と試作、光学的評価に至るまですべて研究室の学生が自ら行なっています。また当研究室では、デバイスの大面積化が容易な自己組織化などのボトムアップ方式をベースとしたナノ構造形成に主眼を置いており、現在までにデバイス作製に関する様々なノウハウを蓄積しています。
今後の展望
現在は基礎的な研究が大部分を占めますが、将来的にはヘッドマウントディスプレイや太陽光発電システムのプロトタイプなど実際に動作するデバイスの作製を行っていきたいと考えています。
社会貢献等
特願2020-107308 虚像生成装置
特願2020-032351 ホログラムの設計方法、ホログラム再生装置及びホログラム記録媒体