研究概要
制御理論とその産業応用に関する研究を行っています。
【多自由度変調を利用したパルス駆動系の制御と応用】
産業においては、技術的・経済的な要因から、制御のために操作する物理量の値を有限個に限定している実システムが数多く存在します。例えば、モータ制御には、半導体スイッチの切り替え操作による省電力な電圧昇降技術が広く用いられています。実は、このような離散事象を含むシステムを注意深く観るとその振る舞いは複雑であり、精密な制御を達成することが一筋縄ではいかない場合があります。当研究室では、パルス駆動スイッチドシステムに対して高精度な制御性能を実現するための多自由度変調技術を開発しています。
【プラント・ネットワーク系のモデリングと制御】
Society5.0を見据え、工業プラント、交通流・電力のネットワーク系といった大規模系に対する制御の応用が期待されています。このような大規模系に、従来の制御技術をそのまま適用すると計算コストや経済的コストが膨大になってしまいます。大規模系を効率良く制御するための研究にも取り組んでいます。(例:鋼材加熱炉の操業最適化)
教育・研究活動の紹介
制御工学では、体系立てられた論理的な方法に基づきながら、対象固有の性質に対する対応策を加味し、対象のモデリング・解析・制御器設計を行います。基本的に、時間的に変化のある「動的」なシステムであれば制御工学の対象となるなど汎用性は非常に高く、実際に、小型電気製品から自動車・航空宇宙機といった産業応用機器まであらゆる製品に制御理論が使われています。当研究室では、特に、高速高精度の目標値追従制御技術や、非線形系・ハイブリッド系をはじめとする複雑系に対する制御技術の開発に力を入れています。
今後の展望
数式モデルをベースとし解釈性を重視する制御理論と、取得データを活用して複雑な問題に挑む機械学習との融合が注目を集めています。当研究室では、最適制御、ロバスト制御、強化学習、ガウス過程回帰等の理論を足がかりに、新しい制御基礎技術の開発と応用研究に力を入れていきます。
社会貢献等
特許取得状況:特許第6479419号(PWM制御 置、及び、PWM制御方法)