研究概要
金属や半導体のような「固体」でないものを総称して「ソフトマター」と呼びます。例えば、私たちの体は、歯や骨などの一部を除き、タンパク質や血液、細胞などのソフトマターでできています。私の研究では、組成のよくわかった簡単な物質から細胞モデルをつくって機能させるボトムアップ型のアプローチで、多様な生体の構造や機能に共通する法則を探っています。特に細胞分裂を模した実験系で、膜の弾性エネルギーの変化や内包物の浸透圧の効果を調べています。
教育・研究活動の紹介
大学では、学校教育教員養成課程の「基礎の物理学」や「基礎物理学実験」、全学向けの教養科目「物理学入門」などを担当しています。いずれの科目でも、自然の事物・現象の大きさやエネルギーのスケールを捉えること、それらにかかわる様々な単位を基本単位系に変換し理解することを、繰り返し指導しています。これらを通して、自然科学の知識を学ぶだけでなく、卒業後も新しい事柄を学ぶ際の基盤にしてほしいと考えています。
今後の展望
ソフトマターの物理・生物物理は、物理・化学・生物の境界に位置する領域です。この特性を活かして、中学生や高校生が3分野を横断的に学習できる教材の開発を行っています。特に、高校物理「弾性エネルギー」と化学「浸透圧」「コロイド」、生物「細胞」「生命起源」などを関連付けることに力を入れています。ICTの普及にともない、タブレット型コンピューターを使って、観察や解析、結果の共有などが簡単にできる実験系を組み立てています。
社会貢献等
中学校や高等学校において中大・高大連携企画の講師や探究的学習の指導を行っています。テーマの例:「生命の起源と人工細胞」「音の三要素と音階」など。