研究概要
算数・数学の問題解決において,児童・生徒は誤答を生成する.児童・生徒の「誤答」は私たちにいろいろなことを教えてくれます.児童・生徒が誤答を生成したプロセスを見ると,彼らなりの「論理」があることに気づきます.誤答の背景にある児童・生徒の「論理」を見ると,全くわかっていないわけではなく,「あと一歩」のところで完成に至っていないことがよくわかります.「あと一歩」のところまで来ている児童・生徒の努力を結実させ,算数・数学の学習に自信を持って取り組んでもらいたいと考えています.そこで,中学生にとって(最も)大きな壁となっている「証明」の学習状況をターゲットにして,中学生が証明問題の解決場面で生成する「未完成な証明(incomplete proof)」に着目して,その生成過程の認知の様相を解明し,その知見に基づいて生徒が未完成な証明を改善する方策について研究しています.
上記以外にも,宇都宮大学に派遣される現職の先生方との研修・研究を通して,中堅教師の学びの成長に関する研究や,また公立小学校の先生方と協働して,児童の数学的思考力の育成する「振り返り活動」を促す手立てについて研究を進めています.
教育・研究活動の紹介
大学では,「算数科指導法」,「中等数学科指導法A」等の指導法に関する授業を主に担当しています.授業では,算数・数学の授業を実施する上で基礎的・基本的な知識はもとより,「数学的思考力・表現力」,「数学的活動」,算数・数学科における「主体的・対話的で深い学び」等について経験的に学ぶ機会を設けています.そして,学生の数学観,教育観,子ども観の変容を促します.
今後の展望
初等中等教育段階を視野に,いつ,どこで,どのような活動を取り入れると児童・生徒の説明及び証明活動が効果的に洗練されていくのかを,国内外の研究者及び小中学校現職教員と協働的に研究を展開していきたいです.また,小中学校の先生方との協働的な研究活動をさらに進め,国内外に発信していきたいです.
社会貢献等
これまで,栃木県内に留まらず,全国大会,関東甲信静地区大会での指導講師をはじめ,県内外の小中学校での授業研究会で講師として指導助言者を行っています.一方で,毎年,宇都宮大学に派遣される内地留学生を受け入れて,研修と研究を行っています.