研究概要
主たる専門は日本近代文学ですが、作家たちの中には、文学だけに閉じることなく、演劇・ラジオドラマ・テレビドラマ・映画など、あらゆるメディアを横断しながら創作活動を展開した作家たちがいます。その代表的な作家として、安部公房・三島由紀夫・寺山修司が挙げられます。作家たちがそれぞれのメディア特性をどう意識しながら、その可能性を押し広げていったか、というその実験的な創造の足跡を追究し、同時にメディアの有する芸術的かつ教育的役割を考察しています。現在はとりわけ寺山修司の映画・演劇や放送作品の研究をしています。
また文芸作品における「奇妙で風変わりな」幻想的な要素や、不自然な珍妙さが生み出す「笑い」の要素について、その発生の力学を、研究しています。
教育・研究活動の紹介
実際に映画や演劇を見にいくとともに、その文学テクスト(シナリオや戯曲など)を読み込み、作家がいかに文学を「立体化」していくか、という作品創造の「場」に受容者として立ち会うことを心がけています。特に演劇は複製が効かない、一夜限りの「祝祭」といった性格を持っています。すぐれた舞台に出会うことは、「もうひとつの人生」を生きたと同じくらいの濃密な教育的体験となります。
今後の展望
単著『寺山修司論―バロックの大世界劇場―』(国書刊行会。2017年2月)を刊行し、その後さらなる考察の深化を目指しています。
社会貢献等
東日本地区国語問題研究協議会 講話・指導助言講師(文化庁・栃木県教育委員会・宇都宮大学・宇都宮市教育委員会主催、宇都宮大学、2002年)、全国高等学校国語教育研究連合会第40回研究大会栃木大会「ことばと生きる―心を豊かに 思いを確かに―」第8分科会助言講師(文星芸術大学附属高等学校、2007年)、栃木県高等学校教育研究会図書館部会・栃木県高等学校文化連盟図書部会総会講演「寺山修司と前衛演劇(演劇の革命とは何か)」(栃木県立博物館講堂、2009年)ほか。