研究概要
専門は江戸時代の歴史で、現在の東京の前身である都市江戸の歴史について研究しています。これまでに、江戸城へ魚介類を上納する漁師が住み着いて成立した深川猟師町(現在の東京都江東区清澄・佐賀・永代辺り)という地域の歴史や、江戸の大伝馬町(現在の東京都中央区日本橋本町・日本橋大伝馬町の一部)の名主(なぬし)であった馬込家について調べてきました。最近は、この馬込家が名主としての職務のほかに、大名の宇都宮藩戸田家の財務を担い、支配町内の豪商からお金を調達して、それを戸田家に融通していたことが明らかになったことから、江戸時代の社会における金融の仕組みに関心を持っています。宇都宮と江戸、栃木と東京、大名と町人、近世と近代の間を往き来しながら、研究を進めています。
教育・研究活動の紹介
歴史は、古文書や遺跡・遺物などの史料があってはじめて明らかになるものです。そのため、研究では古文書を探して読むという作業を行っています。古文書は、くずし字で書かれた和紙に墨書きの現物史料のこともあれば、史料集として出版された本のときもあります。最近では、インターネット上に公開されたデジタル画像の史料を利用することも増えてきました。探しては読み、読んでは探す、この作業を地道に淡々と、そしてたまに思いがけない記述に驚いたりしながら、繰り返しています。史料に書かれていることは事実なのか、史料の内容をどのように解釈するのか、史料を通して得られた知見からどのようなことがわかるのかなど、調べたり考えたりすることは尽きませんが、粘り強く分析を進め、まだ誰も知らない歴史を明らかにしたいと思っています。
教育活動では、講義でも演習でも、学んで覚える歴史ではなく、歴史について自ら考え理解を深める授業を目指しています。教えられたことを学び、与えられた課題に取り組むだけではなく、それぞれが歴史について自分なりの関心をもち、本を読んだり博物館に行ったり現地に足を運んだりと、自分から歴史に接し、主体的・能動的に歴史について考えることができるようになってほしいと思っています。
今後の展望
研究、教育、社会貢献活動を、それぞれ着実に進めて参りたいと思います。
社会貢献等
宇都宮市文化財保護審議委員会委員、栃木県文化財保護審議会委員、とちぎ歴史資料ネットワーク(とちぎ史料ネット)代表