研究概要
研究の一部分を紹介します。
Storytime(読みあい遊び)は、子どもの生活経験と関連した絵本の読み合いと、絵本の文脈を想起しやすい環境での遊びにより、大人と子どものZPD(最近接発達領域)が生じやすい。この文脈での関わりから言語や社会性の発達を促すことが示唆されている。Storytime(読みあい遊び)の環境で遊ぶことで、子どもたちは他者の行動の理由、目標や意図の理解を発達させることが期待された。これらの活動は、前頭前野の下前頭回はミラーシステムの一部と関係があると予測された。そこでStorytime(読みあい遊び)と言語やミラーシステムなどの社会性認知との関連を明らかにするため、絵本の読み合い時の前頭前野の脳血流変化についてfNirsを用いて検討を行った。例えば「めとめがあったら」でも身体各部の動きというより動物の全身運動や視線の共有が描かれている。それにもかかわらず右前頭前野が活動していたことは、ミラーシステムとは別の社会性認知のシステム(表情や共同注視、あるいは情動)が駆動されていた可能性が示唆される。
教育・研究活動の紹介
「臨床現場に出て研究をする」というモットーでこれまで研究を続けてきました。地域では赤ちゃんの子育て支援から、保育園での保育者および園児の発達支援、ニーズのある園児の保育相談、特別支援学校、高校の教育相談まで、乳幼児から青年期までの子どもと大人のあらゆる問題を臨床で体験しながらその現場の人々と共に活動し、人々の生きるかたちを捉える試みをしてきました。この経験と強みを活かし、教育では、学部から博士後期課程の大学院生まで、身体を通して理解すること、対話することを重視した教育を実践したいと日々考えてきています。臨床現場の物語を語ることを折に触れ実践し、答えのない世界を共に生きることを大切にしています。
今後の展望
発達心理学をベースとした研究であるので、研究概要に一部紹介したような実証研究をするのはもちろんだが、上述したように、地域の人々をつなぎ共に生きるかたちを描き出すような質的研究を行う。心理学にもっと生活者の視点からの研究を取り入れたいと考えている。
社会貢献等
1)地方公共団体および一般社団法人などとの連携で保育園等の園への保育者支援、および保育者が気にかかるお子さんの支援とフォローを行う。
2)Storytimeの知見を利用し親子の健康発達支援をめざし、企業と共同研究を進めていく。
3)図書館の読書推進活動に協力しStorytimeを用いた子育て支援と認知発達研究に取り組む。
Storytimeの知見は、幼保小の架け橋プランとして効果があるのではないかと考えている。そのような取り組みに興味のある教育機関や自治体があれば研究フィールドを提供していただけるとありがたいと思います。