研究概要
専門は,発達心理学となります。発達心理学の領域を深めるために,これまで,子どもの社会性の発達に関わる感情的な側面に着目し,とくに罪悪感の発達的研究を展開してきました。罪悪感は,人が悪事を犯した際に生じる感情であるため,従来,罪悪感が有する行動調整機能が着目されています。また,罪悪感をはじめとする子どもの社会性の発達には,家族や友達との関わりが重要であるため,それらの背景的要因の影響について検討しています。罪悪感を捉えるために,幼稚園児には図版を用いた面接調査,また児童から青年においては質問紙調査を行っています。
教育・研究活動の紹介
大学では「発達心理学」「子ども理解の心理学」および「幼児教育相談」などの授業を担当しています。そこでは,学校教育に不可欠な子どもの発達的特徴の理解を深め,子どもの個性や社会性を育てる力を学生さんに考えて欲しいと思っています。「教わる」こともよりも,自ら「知る,考える」ことが求められる大学の授業では,学生さんが子どもの今日的課題を主体的に探求する姿勢が重要です。稚拙な授業ですが,学生さん自身が涵養しつづける子どもへの教育観の一助となりますことを切に願っています。
今後の展望
現在,自己意識的感情とされる罪悪感,恥などの育成をふまえ,幼稚園や学校などの教育現場において取り組める教育プログラムや教材の検討を行っています。また,家族関係において,どのような関わりが子どもの社会性を育むのかについて明らかにしています。さらに,子どもだけでなく,成人,老年期の罪悪感について検討し,超高齢化社会を迎える本邦において,寄与できる知見を提供したいと考えています。今後も,子どもから大人までの健全な心身の発達,人格の形成に資する研究活動ができればと思います。
社会貢献等
県,市における各種委員会に携わらせていただいており,自身の研究や学びが少しでもお役にたてればと思っています。