研究概要
【知的障害教育におけるICT活用】
一人一台端末時代の到来によって、知的障害特別支援学校においても子供達がICTに触れる機会が絶対的に増加しました。同時に、使いすぎや個人情報の流出などの情報モラルに関するトラブルも起きています。これまでの情報モラル教育は情報社会の影を担う存在として、抑圧的な指導が行われがちでしたが、知的障害児者がICTを積極的に使う未来を想定した場合、情報モラルの指導の在り方は検討する必要があります。そこで、現在では「一人一人がICTのより善い使い手になること」を目指し、新たな情報モラルのカリキュラム及び指導法を開発しています。
【知的障害教育における道徳教育実践】
道徳の教科化により、道徳科を設置する知的障害特別支援学校が増えました。しかしながら、言語への依存度の高い道徳科は、言語や抽象的思考に弱さのある知的障害児にとっては様々な壁があります。そこで、現在では全国調査によって明らかになった現状と課題をもとに、知的障害特別支援学校の先生との共同研究を通し、効果的な道徳教育の在り方について実践的に研究を進めています。
【心理教育的アセスメントの開発及び活用】
特別支援教育においては、子供の正確な実態把握のためにWISC-ⅣやKABC-Ⅱなどを用いたアセスメントが実施されています。これらのアセスメントでは、子供の現在の能力(何ができるのか)を把握することが可能です。これまで、アセスメントの結果を指導にいかに結びつけるかについて実践を重ねてきました。近年では、アセスメントにおいて、子供の学習の可能性(どうすればできるのか)を把握することができれば、結果をより指導に結びつけやすくなるのではないかと考え、ダイナミック・アセスメントについて研究を実施しています。
教育・研究活動の紹介
知的障害教育におけるICT活用に関して、これまでソフトバンクやマイクロソフトと共同研究を実施してきました。学校や企業と共同し、知的障害児者の豊かな生活に向け、ICTの新たな活用法を実践的に検討したいと考えています。
今後の展望
地域の学校や企業との共同研究を通じて、特別支援教育の発展に寄与したいと考えております。
社会貢献等
特別支援学校での勤務経験を活かし、特別支援学校等において授業づくりを共に進めたり、公開研究会での指導助言を行ったりしています。また、実際にプログラミングや情報モラルに関する授業を特別支援学校で実施しています。特別支援学校や教育委員会等において、ICT活用や道徳教育等に関する講演を行っています。