研究概要
【学校での保健教育におけるアクティブ・ラーニング等の実践研究】
アクティブ・ラーニングの視点からの各教科等での授業改善が求められている中で、体育科・保健体育科の保健授業などを中核とした保健教育において、児童生徒の理解の質や思考力の向上を目指した授業実践研究を行っています。これまで、ICT機器クリッカーを用いたピア・インストラクション、協調学習としての知識構成型ジグソー法、反転授業などを取り入れた実践を行っており、授業内容に関する知識や意識についての授業実施前後での変容、授業中の児童生徒の学習活動(発話内容、記述内容等)などから評価を行っています。
【青少年の危険行動の防止などの現代的な健康課題への対応についての研究】
青少年の健康や命に関わる危険行動(喫煙、飲酒、薬物乱用、性的行動、暴力等)の防止に関わって、それらが「青少年期に始められやすい」「大人になるに従って定着、悪化する」「相互に関連する」等の特性を持つという仮説を検証したり、それらを防止するうえで有効な心理社会的要因などを探究したりすることを、質問紙調査に基づく統計解析によって行っています。また、危険行動以外にも、スマホ依存、熱中症などの現代的な健康課題の実状等についても質問紙調査によって把握しています。
教育・研究活動の紹介
学部では、小学校教員および中学校・高等学校の保健体育科教員の養成にあたって、教科の指導法に関する科目として「中等保健体育科指導法(保健)」や「健康教育」を、教科の専門的科目として「衛生学及び公衆衛生学」などを担当しています。大学院では、学校と地域社会との連携による健康教育の推進についても扱う「ヘルスプロモーション特論」を担当しています。教科の専門性と指導法との有機的な連携や、学校と地域社会との協働を意識した教育・研究活動を進めることができると思います。
今後の展望
リテラシーやコンピテンシーなどの資質・能力を効果的に育成するための保健の授業実践や、教科等横断的な視点での保健教育の充実の方向性についても検討していきたいと考えています。
また、青少年期の危険行動に関しては近年、減少傾向にあることが報告されているものの、新たにノンアルコール飲料や電子たばこなどの代替品も普及しています。青少年にとってそれらの使用がどのような影響を及ぼし得るのか、検討していきたいと考えています。
社会貢献等
附属小・中学校や公立小・中学校などの学校現場や、保健所などの地域の専門機関との連携によって、教育・研究活動を進めています。児童生徒の健康に関する課題や教育的課題の解決に向けて、教員養成の立場から貢献できるよう、取り組んでいきます。