研究概要
物質の起源のナゾを解き明かすことを目標に、原子核物理の理論的研究を行っています。現代の物理学の研究では、理論・実験・計算の三位一体が基本となりますが、私は理論と計算科学の視点から研究を行っています。近年では、データサイエンス的な手法を取り入れたデータ解析や理論予測の不定性評価、関連するアルゴリズムの開発、機械学習(ベイズ最適化やPhysics-Informed Neural Networkなど)を用いた量子多体系の計算手法の提案や、量子コンピュータを用いた核子系の計算手法の開発・確立に向けた研究など、国内外の研究者らと協力・切磋琢磨しながら、幅広く精力的に研究を行っています。
なかでも特に最近力を入れているのが、最先端のスパコンを以てしても解くのが困難な大規模な問題に対して、情報削減や機械学習などを用いて、小規模なコンピュータでも精度良く解く手法(代理モデル)の開発です。
教育・研究活動の紹介
自身の専門分野に関する研究成果を論文等で発表するだけでなく、最先端の研究成果を誰でも手元で再現できるよう、研究に用いる数値計算プログラムをGitHub上や、プログラミング言語(Julia)のパッケージとして全世界に公開しています。教育では、プログラミングや、機械学習、数値計算などを中心に、ひろくデータの分析・利活用に関する教育を行っています。データサイエンス経営学部での講義資料は全てWeb上で(順次)公開し、Pythonプログラミングの基礎から実践的なデータ分析、機械学習、数値計算などを学べるようにしています。
授業で大事にしているのは、プログラムやライブラリの使い方だけでなく、その背景にある数学的な理論やアルゴリズムの理解です。ベイズ最適化を用いた実験(行動)計画、種々のマルコフ連鎖モンテカルロ法を用いたサンプリング手法や、ニューラルネットワークの学習アルゴリズム(最適化手法)など、ブラックボックスになりがちな手法・技術を基礎から楽しく学べるような授業・指導を心がけています。
また、自身の数値計算等の知見を活かして、企業の方から提供頂いたデータを元に技術支援や学術指導なども行っています。
今後の展望
医療や産業に関係した核データの生成・評価、量子コンピュータの応用、分野をリードする研究を目指し、数値計算パッケージの開発・公開を通した次世代の研究者育成にも尽力したいと考えています。
社会貢献等
市民講座や出前授業、企業や自治体への協力など、幅広い貢献を行っています。