研究概要
身の周りを見渡すと実に多くの植物がいることに気付きます。どこからかやってきた種子は発芽して地中に根を伸ばし、成長した植物は二度と生活環境を変えることなく一生を終えます。そのため、植物は動物と違って動くことができないと思われていますが、植物は外環境の変化を感じ取り、個体、細胞および分子レベルで環境に応答し、厳しい環境に適応しています。
本研究室では、植物細胞(下図)の環境応答研究を行っています。研究手法としては、植物生理学、分子生物学、細胞生物学などを用いており、古典技術から最新技術までを幅広く利用しています。また、様々な機能性タンパク質を改変して、植物細胞内で起こる様々な分子反応を可視化するバイオイメージング技術や細胞の制御技術も開発しています。このような独自の解析技術を研究に組み込むことによって、これまでにない新しい研究展開を目指しています。
教育・研究活動の紹介
本研究室では、細胞内の現象を解析するために新しい技術を開発しながら研究を進めています。代表例は、温度が変化したときの細胞内の状況を観察可能な温度制御顕微鏡の開発です。この温度制御顕微鏡は、地元企業と共同で開発しており、これまでにない全く新しい顕微鏡装置が構築されました。また、細胞の環境応答研究から生まれた植物栽培技術は、植物工場における環境制御に役立つことが期待されています(特開2016-021914)。
今後の展望
これからも、植物細胞の環境応答研究と同時に、様々なバイオテクノロジーを開発していく予定です。また、植物細胞の制御を基盤にして、植物栽培に繋がる新しい技術開発にも取り組んでいきます。とくに、植物工場における植物栽培(特開2016-021914)に関しては、関連企業との共同研究を希望しています。
社会貢献等
技術移転希望項目 ・顕微鏡技術 ・バイオテクノロジー ・植物栽培技術
特許出願状況 ・特開2016-021914(植物栽培法)・特願2016-052607(酵素改変)