研究概要
・森林の「保続」のための森林管理技術の確立
当研究室では森林資源をある世代で使い切ることなく世代を越えた持続的利用を可能にする森林の整備、維持、管理の方法を研究対象としています。古くから林業界では持続的利用のことを「保続」という言葉で表現してきました。「持つ」と「保つ」は近い意味を持ちますが、森林と人との関係で見ると多少ニュアンスが異なります。我々は森林と人との関係を正面から捉え、森林を保続するための森林管理技術の確立をメインテーマに研究活動を行っています。
主な取り組み
・森林の現状把握(森林モニタリング)のための技術開発(空間情報工学技術の応用)
・森林の成長モデル開発(50年を超える長期モニタリングを基盤とした開発)
・森林経営支援システム開発(森林計測アプリ、森林情報管理データベースの開発)
教育・研究活動の紹介
・現場へのフィードバック重視
長年、引き継がれてきた貴重な試験地の実測データを基盤に、研究成果については常に現場での実利用、フィードバックを重視して研究を実施しています。特に技術開発において豊富な実測データを背景に現実的な精度検証が可能な点が強みとなっています。技術の適用対象として、主に行政が担う流域レベルから個別林家による林業経営レベルまでのスケールを網羅した技術開発を行っています。さらに固定試験地の成果は積極的に公開しており、地域林業の基盤データとしても活用可能です。
今後の展望
・国土全体における森林のあり方を提案、林業の再構築への貢献
現況の森林に関する諸問題を対処療法ではなく、国土の土地利用全体(都市計画、農地計画と森林計画)から掘り下げ、日本の地域の森林のあるべき姿を提案し、適正な森林管理には欠かせない産業としての林業の再構築に貢献していきます。
社会貢献等
現在研究室では地域の林業事業体、林家、製材業者、建築家、県庁職員とともに協議会を組織し森林認証制度の普及、スマート林業推進活動にも取り組んでいます。今後も川上のみならず川中、消費者まで含んだネットワークを活かし森林管理のあり方を考えていきます。
主な活動成果:栃木県林分材積表作成、栃木県森林認証管理マニュアル作成