研究概要
多くの人が「成長が早い樹木から得られる木材=品質の悪い木材」というイメージがあるのではないでしょうか。この関係性が本当なのかについて研究を進めています。これまでに、国内ではキリやユリノキなど、国外では、インドネシアやタイのアカシア属種、ユーカリ属種などで調査を進めてきました。その結果、「成長が早い樹木から得られる木材は必ずしも品質が悪いわけでない」ということが明らかになりました。
別な研究として、材質育種にも取り組んでいます。お米や野菜に品種があるように、樹木にも品種が存在しています。野菜などは、「収量が多く」かつ「味が美味しい」というような品種を作出することが一つの目標かと思います。これを樹木に置き換えると、「成長が良く」かつ「木材の品質が高い」というようなことになります。このように特に木材の品質を目的とした育種を材質育種と呼んでいます。国内では、森林総合研究所林木育種センターや公設林業研究機関との共同研究で、これまでにスギ、ヒノキ、カラマツ、アカマツ、エゾマツ、トドマツなどの様々な樹種で木材の性質を明らかにしてきました。また、海外では、タイのカセサート大学と共同でユーカリ属種の材質育種にも取り組んでいます。
教育・研究活動の紹介
授業や実習、学生との交流では、木材の基礎的な性質が理解してもらえるように意識しています。木材の基礎的な性質を理解することは、木材の持続可能な活用に繋がります。また、木材は、世界中で生産され、世界中で利用される材料です。そのため地域資源の理解のみに偏らず、グローバルな視点で木材を理解してもらえればと考えています。
今後の展望
今後も、樹木の成長と木材の性質の関係解明を行いたいと考えています。また、国内外を問わず、木材の性質解明を基礎とした木材有効利用による地域経済の発展などに取り組みたいと考えています。
社会貢献等
これまでに、「スギ材の強度モデリング」、「バイオ炭の植栽基盤への利用」、「キリの早生樹としての利用可能性評価」、「木材のJIS強度試験」など基礎的な木材の性質評価や林産物利用に関する共同研究を行っています。