研究概要
● バラ科成長相制御機構の分子的生理学的解明
産業上有用な種を数多く含むバラ科植物では、同じ種内で長日条件に応じて花芽を形成するタイプと、短日条件に応じて花芽を形成するするタイプがみられることがあります。そこで近年バラ科モデル植物として注目されている2倍体野生イチゴを用いることでこれらの違いを制御している機構の解明を行っています。
● 栽培イチゴの祖先種の解析
栽培種イチゴの起源と考えられている野生種イチゴの環境応答性を解明することは、育種上重要な意味を持っています。世界中で栽培されているイチゴの祖先種の一つであるとされながら研究が遅れている、日本に自生する2倍体野生イチゴの環境応答とその仕組みについて分子生理学的な研究を行っています。
教育・研究活動の紹介
これまで広く用いられてきたアブラナ科・イネ科のモデル植物にとどまらず、近年モデル植物として注目されている多年生植物であるバラ科植物を長く取り扱っており、非モデル植物の解析も可能です。また、共同研究者は国内だけでなく、欧米の公的機関・企業の研究者・育種者との交流も定期的に行っています。これらの事により、実際の栽培現場で起こっている現象について、国内外の情報も参考にしながら、分子レベルでの実態解明を可能にしています。
今後の展望
イチゴの花芽形成機構を解析することでバラ科植物全体の花芽形成機構の解明につながることが期待されています。現在はこれらの植物では一年のうち限られた期間しか収穫が出来ない状況ですが、これらの研究を通じて、将来、少ないエネルギー投入で任意の季節に収穫が可能な農業体系の実現につながるかもしれません。