研究シーズ集

農学部

教授 前田 勇まえだ いさむ

応用生命化学科・応用微生物学研究室
前田 勇
キーワード

窒素固定細菌,テルペンアルコール,抗菌物質,甘酒乳酸菌発酵飲料

分野

応用微生物学

研究テーマ

・イネ内生細菌による窒素固定活性の向上
・食品の発酵に用いられる真菌類の代謝
・発酵食品製造のスターター乳酸菌の機能性

所属学会等

日本農芸化学会,日本生物工学会,日本細菌学会

特記事項

微生物の培養,解析,微生物汚染,腐敗等の技術や対策

URL

MAIL

i-maeda※cc.utsunomiya-u.ac.jp(※を半⾓@に変換してください)

TEL

028-649-5477

研究概要

化学肥料原料となるアンモニアを合成するための化学的窒素固定は農業生産効率を飛躍的に向上させました。一方,ある種の細菌は自然環境下において生物学的窒素固定によりアンモニア合成を行うことができます。化学的窒素固定では大量の化石燃料の消費を伴うことから,持続可能な農業を指向した取り組みとして本研究では,イネに内生する細菌の窒素固定活性を高めるべく研究を行っています。堆肥等の資材施用により,イネの内生細菌叢や窒素固定活性がどのように変動するのかを明らかにしようと試みています。

アルコール飲料や麹を製造するための発酵では,それぞれ酵母や麹菌といった真菌類が用いられています。これらの発酵過程では真菌類の酵素が様々な反応を触媒しています。本研究では,アルコール発酵過程において植物原料由来の香気物質であるテルペンアルコールがどのように代謝されるかを調べています。研究成果はアルコール飲料の香りを制御する上で役に立つ可能性があります。また,麹製造の糖化過程においてコメ由来原料から抗菌物質への代謝についても調べています。研究成果は麹の保存性や抗菌性の向上に寄与する可能性が考えられます。

企業との共同研究で開発された甘酒乳酸菌発酵飲料は植物性乳酸菌Pediococcus acidilacticiをスターターとして用いることで製造されています。P. acidilacticiは耐酸性能が高いことや、乳酸生成以外にも種々の機能性を有することが知られています。本研究ではP. acidilacticiの耐酸性能や腸内環境を整える効果に着目した研究を行っています。研究によりP. acidilacticiの新たな機能性を解明しようと試みています。

教育・研究活動の紹介

微生物の培養や発酵、機器分析、バイオアッセイ、微生物化学、分子生物学に関連した技術や知識を活用して研究に取り組んでいます。

今後の展望

生物由来物質や微生物細胞の新しい機能性について模索していきたいと考えています。 

社会貢献等

企業との乳酸菌飲料の共同開発や、自治体との溜池のカビ臭防止対策等に取り組んでいます。今後も微生物機能の利活用による企業や団体と連携した研究開発を行っていきたいと考えています。