研究概要
社会学を軸に、日本におけるエスニック空間の研究に取り組んでいます。エスニック・マイノリティの集住地域のみならず、ビジネスや表象等を含め多様な形でのエスニシティの空間的集中が見られる地域とそこで織りなされる社会関係に着目し、地域社会と移動、エスニシティをめぐる研究を目指しています。
教育・研究活動の紹介
教育活動については、主に社会学の観点から多文化共生に関する知識を身につけ、実証的に研究する方法を習得できる教育を目指します。そのための素地として、語学教育を通じた外国語能力の強化、異文化・社会理解の促進も図っていきます。また、自身の経験を活かし、多様なバックグラウンドをもつ学生の相談に応じたいと考えています。
研究活動については、これまで主に、日本有数の外国人集住地域である新宿区大久保地域に形成されたエスニックな観光地「新大久保」を事例に研究を進めてきました。「外国人住民」の急速な増加に見られるような居住空間としての多文化化のみならず、エスニック財を主要観光資源とする観光地化をも経験した地域において、これにかかわる人々が織りなす関係はどのように変化したのか。また、そのことは移動をキーワードに今日の「地域社会」を考えるとき、どのような示唆を与えてくれるのか。これらの疑問に答えることで、移民・エスニシティ研究と都市・地域研究の(再)接続を目指しました。
今後の展望
今後の研究の展望としては、大きく二つの方向性を目指しています。第一に、これまでの研究内容を引き継ぎ、必ずしも集住に限定されないエスニック空間の研究を進めることです。日本の事例を中心に、国際比較研究としての発展、国内の研究蓄積との接続の両方を目指しています。第二に、これまでのエスニック空間の研究を基盤としながら、移動を前提とする「地域社会」を捉えるための分析枠組みを発展させていくことです。居住(定住)に加え、より多様な形で地域とかかわるようになった人々からなる「社会」をいかに捉えることができるのかを、エスニック空間に限らず研究していきたいと考えています。
社会貢献等
研究に関連の深い自治体や団体の委員、参加学会の編集委員・企画委員を務める他、学術翻訳・通訳にも貢献しています。