研究概要
「音」を中心とした研究を展開しており、音響計測、音場制御はもとより、視聴覚相互作用を利用した、感性情報(情緒や嗜好に訴求する情報で、例えば、美しさ、楽しさ、寂しさなどを表現するもの。主観的かつ多義的で、状況に依存することが多いことから取り扱いが難しく、定量化が試みられるようになったのは比較的最近である)通信の実現に向けた基礎的な技術開発を行っています。
教育・研究活動の紹介
視聴覚相互作用に関する研究においては、映像に対する音の大きさ、音に対する映像の奥行き感、および映像と音の主観的な同時点の相互関係を調査し、より臨場感の高いAVコンテンツ再生システムへの応用を目指しています。
自動車車室内での音環境に関する研究においては、車室内音響システムの評価実験ならびに耳側音響システムの開発(図1)を実施し、耳側に設置した2つの平面スピーカを用い、音像を制御することで、より快適な音空間の創成を目指しています。また、車室内空調音について、「騒音」という観点ではなく、温冷感を含めた人間にとって「心地よい音」という観点(涼しい音、暖かい音など)からの解析を行っています。
また、伝統工芸品が持つ独特の風合いや質感などの感性情報を伝達することを目的として、インターネット上で多感覚情報通信が可能な感性情報システムの開発を行っています。
他にも、「日光の鳴竜」(内陣天井に描かれた大きな竜(縦6m×横15m)の下で拍子木を叩くと、鈴を転がしたように音が響く)の計測を行い(図2)、インパルス応答の算出などの音響解析を実施しています。
今後の展望
多感覚融合による相互作用を利用した感性情報通信の実現に向けた取り組みを実施していきます。
社会貢献等
要望に応じて小中学生を対象とした出前講義(スピーカの製作など)を実施しています。高校生対象のスーパーサイエンスハイスクール (SSH) では音響信号処理をテーマとした課題を実施した実績があります。