研究概要
高い経済形質を持つウシの遺伝子解析を利用した効率的生産に関する研究
栃木県畜産酪農研究センターとの共同研究により、ウシの肉質や乳量に関連する遺伝子解析、体外受精·胚の体外培養·胚移植を行い、肉質や増体を向上させることに有利な遺伝子を持つデザイナーズ家畜(ウシ)を作出しました。今後も栃木県の酪農を継続するために、能力の高いウシを短期間で生産することを目指して研究を継続していきます。
栃木県日光に生息する野生の二ホンジカにおける遺伝的多様性および人畜共通感染症に関する研究
日光国立公園では野生の二ホンジカの個体数が増え続け、その影響で農産物や森林に被害が出ています。
当研究室では、日光国立公園および隣接する県に生息する二ホンジカのミトコンドリアDNAのコントロ―ル領域の塩基配列を明らかにして、隣接する県への集団移動経路などについて調べています。
また、自治医科大学との共同研究により、人畜共通感染症であるE型肝炎の野生二ホンジカにおける罹患率を調査しています。
教育・研究活動の紹介
大学の授業では、動物遺伝学、動物育種学を担当しています。
動物遺伝学では、ヒト、実験動物および家畜における違いなどに触れながら、染色体(遺伝病含む)、血液型、性分化、免疫の獲得などについての基礎知識を提供しています。動物育種学では、動物遺伝学の基礎的な事象をもとにして、家畜(ウシ、ブタ、ニワトリ)の遺伝病などの遺伝様式や免疫獲得の機序など、個々の動物種の特徴について説明しています。また、卒業論文では、これらをもとに行政などとの共同研究に参加することで、実際の現場での問題点に触れて、それらを解決していく過程を学べるよう勧めています。
今後の展望
栃木県の酪農など、県の産業の発展に貢献すべく、ホルスタイン種の受胎率をこれ以上低下させることなく、高い経済形質を保持した次世代のウシ作出に貢献したいと考えています。
社会貢献等
自治体と連携して、高い経済形質を保持したウシの作出における研究を継続すると共に、これらの技術や考え方を身に着けた技術者(卒業生)を輩出していきたいと考えています。