研究概要
・樹木の病原菌に対する防御機構:シラカンバの病害抵抗性機構を解明するために、組織培養で育成したシラカンバ無菌クローン幼植物体とカンバ類の癌腫病菌であるカバノアナタケの実験系を用いて、プロテオミクス(タンパク質の網羅的な解析)及びメタボロミクス(代謝物の網羅的な解析)により、研究を進めている。
・木質バイオマスのエネルギー及び原料への化学変換:木質系バイオマスとして、食用きのこ栽培後の廃菌床に着目し、この廃菌床からバイオエタノール及びバイオブタノールの生産に関する研究を行っている。また、きのこの培地に特定の化合物を添加後、培養し、菌体外に生成·分泌される有用な酵素·タンパク質に関する研究も実施している。
・樹木二次代謝産物のメタボロミクス解析:心材腐朽菌に侵された老齢の針葉樹種サワラの心材に生成する二次代謝産物について、健全材のものと比較しながら、網羅的な解析を行っている。
教育・研究活動の紹介
教育では、木材主要化学成分の種類、化学構造、化学的性質、生合成、及び木質バイオマスの利用方法、変換方法等に関して、講義、実験、演習を行っている。研究活動では、上記の3つのテーマに基づいて、プロテオミクス、メタボロミクス、有機化学、及び生化学的手法を活用して進めている。特に、機器分析法(質量分析法、核磁気共鳴分光法)の活用が特徴である。
今後の展望
樹病に関する研究については、今後、ゲノミクス(ゲノム、遺伝子の網羅的解析)及びトランスクリプトミクス(RNAの網羅的解析)を取り込み、オミクスの手法及びバイオインフォマティクスの手法を活用して行く予定である。
社会貢献等
これまでに、栃木県内の2つの民間企業と共同研究を行ったことがある。