研究概要
【トマトの近縁野生種が有する有用形質と遺伝子の解析】
トマトは世界で最も生産量の多い野菜で、糖やアミノ酸、ビタミン類やミネラルが豊富な栄養価の高い野菜としても注目されています。現在市場に流通しているトマト(栽培種)の祖先種である近縁野生種は、栽培種にない有用形質や遺伝子を多く含むことから、新品種の育成などに向けた遺伝資源として利用価値が高いと考えられます。そこで近縁野生種の1つであるS. pennelliiの染色体を栽培種S. lycopersicumの染色体に導入した染色体断片置換系統を研究材料に用い、果実の品質や収量に関係する形質や遺伝子について研究を行っています。
【タマネギのりん茎肥大メカニズムの解明】
タマネギは野菜の中でも生産量が非常に多く、品種や栽培方法を使い分けて1年を通して市場に流通しています。栃木県でも鬼怒川沿岸を中心に産地が形成されるなど、全国で幅広く生産されているタマネギですが、可食部のりん茎が肥大する仕組みは十分に分かっていません。そこでタマネギのりん茎が肥大するメカニズムについて、日長や温度などの環境条件と遺伝子発現の関係などに注目して研究を行っています。
教育・研究活動の紹介
研究室の所在地は、真岡市にある農学部附属農場です。広大なフィールドを最大限に活用した栽培試験や調査だけでなく、栽培から見出された現象を解明するために遺伝子レベルの研究も行うなど、様々なアプローチから園芸作物の品質や生産性を高めるための研究を行っています。特にタマネギの基礎研究を本格的に行っている大学は世界でも少なく、タマネギ研究に関する実績やノウハウを有することは本研究室の強みです。
今後の展望
トマトの有用遺伝子やタマネギの肥大メカニズムの解明が進めば、付加価値の高い農産物の生産や、全く新しい作型の開発などに結びつく可能性があります。また前述のように、タマネギの基礎研究を行っている大学は数少ないため、この分野をリードするような研究成果を発表していきたいと考えています。
社会貢献等
これまでもタマネギを中心に、共同研究に関するお問い合わせをいただいてきました。学術的な研究の発展に結びつく共同研究のほか、栽培技術の発展など社会実装に結びつく提案もご相談ください。