研究概要
■文化財保存施設の温湿度実測調査とシミュレーション
施設内の温湿度が年間でどのように変化するか測定します.また,時々刻々と変化する外気気象条件に対し,建築材料内を流れる熱や水分量,外気および多数室間の空気交換量,空調挙動の総合的な予測をもとに,施設内の温湿度をシミュレーションします.これらをもとに,文化財資料の保存に必要な設計・運用方法を検討します.
■材料の熱・水分物性と機械特性の測定
材料が熱や水分をどの程度通すか,あるいは保持するかといった特性を測定しています.また,水分量に応じた材料変形や機械特性の変化などについても地道な実験により明らかにしています.
■湿度変動時における材料の損傷危険性予測材料の耐久性を損ない壊す現象の一つとして,乾燥・湿潤の繰り返しが挙げられます.環境に対して材料内の温度・水分量・応力・ひずみが空間的・時間的にどのように分布するか,さらに,それにより損傷が発生する危険性がどの程度あるか,予測する研究に取り組んでいます.
教育・研究活動の紹介
熱・水分・空気の移動および空調挙動に関する様々な理論を総合的に駆使して建築空間の非定常的な温湿度を予測するところが研究の強みです.また,材料内温度・水分量・応力・ひずみの空間的・時間的分布の同時予測には複雑かつ高度な理論を組み合わせて運用することが必要です.この点も研究の強みとして挙げられます.
今後の展望
空間温湿度,および材料内の熱・水分量と機械挙動の同時予測技術を活用して,文化財保存施設を含む建物の環境制御方法,建築材料の保全・管理方法の策定に資する研究に取り組んでゆきます.
社会貢献等
建築実務者向けに執筆した記事がオンランで公開されています.
(URL:https://www.traverse architecture.com/ プロジェクト小椋研究室 21 5)