研究概要
経営学の人的資源管理論を専門としています。近年は、デンマーク発祥の「フォルケホイスコーレ」とよばれる労働者のためのレジデンシャルカレッジ(寄宿制の学習コミュニティ)がどのように発展、変容、普及してきたのかについて、イギリスとの歴史的関係性から捉えた研究しています。こうした学習コミュニティは経営学では「実践共同体」と呼ばれ、企業の境界を越えて個人のキャリアをサポートする存在として近年日本でも注目されています。またIT企業での経験を活かし、企業の人的資源管理におけるテクノロジーの活用やデジタル時代のキャリア戦略についても研究しています。
教育・研究活動の紹介
授業は「人的資源管理論」と「経営情報論」を担当しています。授業に企業等からゲストをお招きして最新の経営実践をお話しいただくことで学生が理論を実践に応用していく力を身につけられるよう工夫したり、オンライン上でのディスカッションを活用して学生が多様な考え方やアプローチを身につけられるようにしています。研究では、国内外でのフィールドワークにおける史資料の調査やインタビュー調査を通じて国や文化を超えた普遍性を明らかにし、人材育成や個人のキャリア開発への示唆を得ることを大切にしています。
今後の展望
現在イギリスの事例をもとに、企業のフィランソロピーと成人教育の融合や、産業構造の変革期においてフォルケホイスコーレのような実践共同体が労働者教育に果たした役割について研究しています。変化の激しい現代社会において、こうした実践共同体が人々のキャリア開発やリスキリングにどう貢献するのか、またそこで集積・創造された知識をどのように社会に還元し普及していくかについてさらに研究を深めていきたいと思っています。
社会貢献等
研究対象のなかで、近年、若い方々を中心に注目を集めている「フォルケホイスコーレ」のことを学べる公開講座を開講しています。興味がある方はぜひご受講ください。また自治体における職業能力開発や中小企業振興、女性の活躍促進に関する協議会の委員のほか、女性のためのデジタルキャリア開発研修やインターンシッププログラムの共同開発などにも取り組んでいます。